第44回 枯れ木灘海岸巡検(田ノ崎・江田海岸・さらし首等)
2023.07.02

2023 0702 第44回田辺ジオパーク研究会の公式巡検(一般参加・保険付) の開催で、枯木灘海岸見学と銘打って、南紀熊野ジオパークのジオサイトであります田の崎半島・江田海岸・サラシ首・和深海岸の4箇所を訪問しました。地質図では、熊野層群(下里累層)牟婁層群(枯木灘層・田並川層)になります。以下 参照:


1.田の崎でのキーワードは
傾斜不整合・四万十付加体の牟婁層群・前弧海盆堆積体の熊野層群。
四万十付加体の牟婁層群 (古第三紀) と前弧海盆堆積体の熊野層群 (新第三紀中新世) の不整合が見られます。熊野層群は、ゆるく傾斜する基底礫岩層と砂岩泥岩互層からな
り、著しく変形した牟婁層群の地層を傾斜不整合で覆います。両者の堆積には数 100 万年の時間間隙があります。整然と傾斜した熊野層群の地層を利用して写真のキョンシー遊びを楽しまれた模様。半島の東側の断層は少しわかりにくい。看板の設置が望ましいです。

上富田・日神社に集合

2.傾斜不整合の上で全員集合!

3.傾斜不整合はよくわかる・しかし、海洋ごみが凄い・拾ったジップバッグを開けてみると
 数千円・タジケンにご寄付いただきました。


4.江田海岸のキーワードは
付加体の斜交葉理と褶曲構造(牟婁層群)・田並川層
江田海岸は熊野古道大辺路が通過しており、徳大明神が近くにあります。
プレートの運動によって大陸プレートに押し付けられ付加体となったとき、地層に強い圧縮の力が継続的に加わり、たくさんの摺曲構造が形成されたと考えられます。ここの褶曲は竹のおろし金のようになっているのが特徴です。


5.サラシ首層のキーワードは、含角礫泥岩層・海底土石流・枯木灘層(Kk)
田子の浦から中平見の海岸には、 大小の砂岩や泥岩、ときに礫岩の角礫を無秩序に含んだ特異な含角礫泥岩層がみられます。 この礫岩層に関しては1960年代に研究が始まり、あたかもさらし首を並べたように見えることから通称「サラシ首層」(正式には「田子含角礫泥岩層」) と呼ばれています。たくさんの巨礫がちりばめられたこのサラシ首層は、海底土石流の堆積物です。古第三紀の終わりごろ、 海溝に堆積した地層がプレートの運動によって陸側に付加され、 牟婁付加体となりました。 サラシ首層は、この牟婁付加体の一部が崩壊し、 海底土石流となって堆積したもので、砂岩や泥岩、礫岩などの巨礫が泥岩の中に含まれています。ただ、部分的にはダイアピルのような岩層が見られます。トンネル付近の枯木灘層には多数の生痕化石を見ることができます。


6.和深海岸のタービダイトのキーワード:
和深海岸の海食崖は、砂岩と泥岩がリズミカルに積み重なった砂岩泥岩互層。
和深では海底扇状地で形成された砂岩泥岩互層が、 あまり変形を受けずに整然と積み重なっています。 地層の堆積構造の観察に絶好の場所といえます。
大きな地震や地殻変動の際、陸側の斜面 (陸棚外縁部) に堆積していた陸源の砕屑物 ( 土砂)
が海水と混合しながら海底土石流や混濁流となって海底谷を流れ下り、 海溝で海底扇状地をつくりながら堆積します。 海底扇状地では、礫岩や砂岩が優勢な扇央から扇端に向かって、しだいに砂岩泥岩互層(タービダイト) が優勢になります。 扇状地の海洋側では半遠洋性ないし遠洋性の泥岩が堆積しました。和深海岸では、海底扇状地の各部分 (扇頂部、 扇央部、 扇端部) を示す地層を観察できます。ここにはいろいろの種類のタービダイトを観察することができごく薄い地層の集積も見ることができます。又、部分的には泥岩の風化により,砂岩の底痕をクリアに観察可能で、古流行の方向も理解できます。


7.タービダイト前にて集合写真

2023.07.02 23:11 | 固定リンク | 研究会活動履歴

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