第17回 白崎海岸(由良)~名南風鼻(なばえのはな)・ばべ鼻(広川町)巡検・
2017.06.18
2017.6.18 第17回 白崎海岸(由良)~名南風鼻(なばえのはな)・ばべ鼻(広川町)巡検報告
<行程>
9:30 集合 白崎海洋公園 道の駅駐車場 (西牟婁振興局&みなべ町役場乗合せ)
 ↓     中屋先生レクチャー  白崎石灰岩は肥料やセメント用に利用
 ↓     フズリナ化石(米粒石とも呼ばれる)、ウミユリ化石
 ↓     カルスト地形、二畳紀とジュラ紀の不整合、秩父帯メランジュ等
12:15 昼食 お弁当持参・道の駅で弁当などを購入
12:40 出発 道の駅から海岸沿い北上   
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 ↓  移動 広川ビーチ経由
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13:15 到着 名南風鼻への磯釣り入口(夏場は、利用客が多く道路駐車不可)
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 ↓     黒瀬川帯の見学 シルル紀石灰岩(四国に多い)の浜場到着 
 ↓     磯伝いから崖上を通り名南風鼻までウォーク(往復約3㎞)
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16:20 解散 名南風鼻入口

<概要>

 今年の梅雨入りは6月7日ごろで昨年よりは3日遅かったようです。発表後の10日間は晴れが続いていたのですが、当日は降水確率40%・曇り空の天気予報が出ていました。雨の心配をしながらもほぼ予定通りのコースを回る事が出来ました。

白崎海洋公園は行ったことがあるという方は多いようですが、今回のように地質的に詳細を聞くのは大多数が初めてのようでした。
白崎海洋公園付近は秩父帯の南帯に属し、石灰岩からなる白亜の岬と云われ、約2億8000万年前ごろにできた石灰岩にフズリナやウミユリ(棘皮動物)化石が沢山含まれているところです。フズリナ化石は、古生代石炭紀から二畳紀(2億5000万年前ごろ)の地質時代を示す重要な示準化石です。又、明治10年頃からこの附近の石灰岩が採掘され始め、最盛期の昭和35年頃には年間産出量が22万トンにも達していたようです。そのため道の駅入口側の大きな岩体は空洞になっています。午前の部最終はR24に移動し、秩父帯のメランジュ、中生代ジュラ紀のレンズ状地層や不整合、所々に現れている石炭等について説明を頂きました。昼食時、道の駅店内にはタコ弁当等工夫を凝らした美味しそうな商品も数多く並んでいました。  午後からは4億年以上前の紀伊半島最古の岩石が含まれる“黒瀬川帯“が存在する名南風鼻(なばえのはな)・ばべ鼻へ。 道路わきから樹林帯の中を通り抜け、シルル紀(約4億年前)の石灰岩を含むトーナル岩やクサリサンゴなどの化石、カラフルでこぶし大の丸みを帯びた石が転がっている池ノ上層ある海岸に到着しました。

資料の白崎海岸P9“名南風鼻・ばべ鼻とその周辺の黒瀬川帯地質図”を見ながら、ばべ鼻や池之上層の場所を教えて頂きました。更に角張った大きな岩場には塩基性岩脈が鮮明に走っていました。さらに、樹林帯を尾根道まで登り、名南風鼻(なばえのはな)の岬先端付近を設置されたロープで降下し、ザクロ石を含む片麻岩と念願のご対面も出来た久しぶりの濃厚な歩程を体験した巡検でした。
 

  

  










白崎概説:
白崎は主に石灰岩でできた岬です。白崎の石灰岩は約2億8000万年前(古生代ペルム紀(=二畳紀)2億9800万年~2億5100万年)頃にできたものであり、中にはたくさんのフズリナやウミユリの化石が含まれています。石灰岩は炭酸カルシウム(CaCO3)を主成分とする堆積岩で、主にサンゴやフズリナ(紡錘虫)などの生物遺骸が堆積したり、溶解した炭酸カルシウム(CaCO3)が沈殿したりすることによってできます。白崎石灰岩がつくられたころの海は,浅くて暖かく.たくさんのフズリナ(紡錘虫)が生息していました.それらの遺骸がどんどん海底に堆積し.やがてそれらが石灰岩になっていったと考えられます。フズリナは紡錘虫とも呼ばれ、海に生息していた原生動物(有孔虫の仲間)です。その殻は石灰質で、この殻が大量に堆積してフズリナ(紡錘虫)化石を含む石灰岩、また、ウミユリ自体も石灰質の殻で覆われていた棘皮(きょくひ)動物で,現在紀伊半島沖の海域にも生息しているウミシダの仲間であり、白崎の石灰岩に含まれるウミユリ化石は柄の部分がバラバラになったものです。フズリナの仲間(紡錘虫超科)は、古生代石炭期の初め頃(3億5800万年)に現れ,古生代ペルム紀(=二畳紀)の終わり(約2億5000万年前)には絶滅した種です。フズリナ化石は世界中で約100属5000種以上にのぼる進化の跡が見られますが、絶滅したことで、フズリナは古生代後半(2億8000万年頃)の「示準化石」として重要な化石です。白崎海岸の石灰岩の、風化によってもろくなっているところでは、一つ一つがばらばらになったフズリナ化石を取り出すことができ、その形が米粒に似ていることから、米粒石とも呼ばれます。特に、白崎では、古生代ペルム紀(=二畳紀)に大繁栄したフズリナの化石が見つかっています。
ウミユリ(海百合)の名は,まるで海に生える植物の様ですが、ウニ、ヒトデ、ナマコなどと同じ仲間の棘皮(キョクヒ)動物です。この生物種は,古生代を通じてたいへん栄えていましたが.中生代(2億5000万年~6600万年)以降になって,急速に衰えてしまいました。現在では、深い海底でわずかの種類しか生き残っていません。日本近海に生息する,トリノアシやニツポンウミシダがその代表種です。白崎で見つかるウミユリ化石の多くは、径数mm~10mmほどの柄の部分です。先端部には花びらが開いたような「腕」と「萼(がく)」がついています。白崎石灰岩と同じ頃|こできた岐阜県の赤坂石灰岩では、柄の径が5~6cmもある巨大なウミユりが発見されています。ウミユリは、サンゴ礁近くの海底斜面で,群れをなして生息していた様です。 

       

























































































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