第19回 落合~伏菟野(ふどの)~上野~射森峠~中辺路町西谷方面へ
2017.11.05
2017.11.5 第19回 落合~伏菟野(ふどの)~上野~射森峠~中辺路町西谷方面へ

2011年9月4日未明、3日前からの豪雨と台風12号の影響で、田辺市伏菟野(ふどの)前谷地区の山(西側)が、山裾から凄まじい音と共に深層崩壊発生。家屋とともに尊い5名の命が失われました(合掌)。
その後、約3年半で復興を成し遂げられ2015年4月、前谷地区の入口には災害復興記念碑と銘刻碑が建立されています。
 (参考 2011年紀伊半島大水害  国土交通省近畿地方整備局災害対応の記録
https://www.kkr.mlit.go.jp/bousai/kiroku/qgl8vl0000008lkt-att/kiihantou-kirokushi.pdf
     平成23年紀伊半島大水害の被害と復興の記録  和歌山県 県土整備部
http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/080100/documents/higai_gaiyou_120914.pdf)

概 要
 田辺市内から奇絶峡トンネルを抜け、県道30号線を北西“田辺梅林”方面に車を走らせる。 10月23日・29日、2週連続21・22号台風の到来で大雨が降っていた為、河原に降りられるかどうか懸念を抱いていましたが、10時10分到着時には谷川地区の川の流れはかなり落ち着いていました。 ご多忙の学術専門員中屋氏から事前に地図資料を頂いていたので、芝副会長(ジオパークガイド)が下見&当日案内を行いました。 この附近一帯は、音無川層群羽六層最上部層の礫岩層に区分されています。 長靴に履き替え、川床に降りると1~50cm程度の円礫を含む礫岩が真っ先に目に飛び込んできました(一旦、腰を下ろすとなかなか前に進めない面々だw)。 円礫の種類は、チャート・砂岩・花崗岩・石英・石灰岩・石灰質泥岩・珪質泥岩等、カラフルでとても賑やかな具沢山の岩床でした。(以前、富田川に鎮座している「峰のさざれ岩くん」と酷似しています)。更に上流に歩を進めるとソールマーク付きの大岩がドドーンと居座っていました(流れの方向は未確認)。ようやく目が慣れてきた頃は既にタイムオーバー(汗)。10m余り先の小滝までは到底行けない結果となってしまいました。 急いで車を走らせ11時15分、山間の伏菟野(ふどの)地区に到着。 早々に谷口町内会長から当時の被害状況や復興復旧の経緯などを伺いました。眼下の景色は、既に甚大被害の痕跡は無く、むしろ桃源郷のような穏やかな場所のようにも見受けられました。 
深層崩壊斜面跡の高台となっている場所には“伏菟野きくらげ生産組合”【夢のきくらげ】工場が営まれ「あらげきくらげ」と「白いきくらげ」2種類販売されています(迷わず夕餉の食材に。生(なま)きくらげ+インゲンのゴマ油炒めで美味しい一品!)。正午のチャイムが鳴り終える頃には工場内見学までさせて頂きました。 活き活きと作業に精を出されている女性たちの笑顔が脳裏から離れません。お礼の挨拶もそこそこに次の目的地まで再び乗り急ぐ(?道中何故だか道に迷う)。
 昨年10月、世界遺産熊野古道追加登録された長尾坂の終点「ねじ木の杉」近くの馬我野(ばがの)小学校グラウンドで昼食。まだ紅葉には早かったがイチョウの足元には大きなギンナンの絨毯が広がっていました(超個性的?な匂い;モチモチの美味しい触感からは想像できません)。 昼食後ひと気のない廃校を散策していると、でっかいスズメバチの巣に遭遇! はたまたズボンには多年草のアメリカセンダングサ・イノコヅチ・ヌスビトハギなどが、びっしりとくっついていました(・・え!私だけ?汗)。 
 13時20分 午後の部出発。射森峠頂上までは約20分程度、緩やかな上りが過ぎる頃、豊臣秀吉時代の古戦場跡がありました(歴史に詳しいメンバー談)。結局、先生からの課題「地層は低角(26°~25°)で逆転している箇所」は、残念ながら今回は確認出来ませんでした(汗)。 午前中に訪れた場所よりも新しい年代の付加体(牟婁層群)ですが、整備された路面を下っていると斜面には同じように厚い礫岩層の中に1~50㎝の円礫が含まれた地層と厚層砂岩の地層の分岐が顕著に現れている箇所がありました。あ!なるほど断層ラインが記載されています。
上野にお住まいの89歳知人曰く「この前まで、みな(皆さん)射森峠を超えて一願寺さんまでお参りに行ってたんやで。じき(直ぐ・速い)に行けるよ。1時間もかからんで。一緒に行こか?」フツーに降参でした。 以上
                              2017.11.10 文責 C・H



↓ 落合の川床の探索 




























↓ 伏菟野(ふどの)訪問
















































↓ 射森峠探索










↓ 落合露頭「礫岩層」(音無川層群 羽六層最上部 径1~50cm程度の円礫を含む)、又「チャート・砂岩・花崗岩・石英・石灰岩等の礫を含む(中屋氏メモ)

↓ 射森峠露頭 この附近の地層は低角26°~25°で逆転している。 西谷川の右〇印は、厚い礫岩層 径1~50cm程度の円礫を含む。砂岩・チャート・流紋岩・凝灰岩・石灰岩等の礫を含む。このあたりは牟婁層群中部(砂岩、砂岩泥岩互層及び礫岩)。




2017.11.05 10:12 | 固定リンク | 研究会活動履歴

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